2015年3月1日日曜日

きっと、星のせいじゃない。 The Fault in Our Stars

全米でベストセラーとなったYA小説『さよならを待つふたりのために』の映画化。2/20~日本公開中。
 


The Fault in Our Stars(2014)
監督:ジョシュ・ブーン
出演:シャイリーン・ウッドリー、アンセル・エルゴート、ローラ・ダーン、ウィレム・デフォー
 

あらすじ



主人公のヘイゼル(シェイリーン・ウッドリー)は17歳でステージ4の甲状腺癌患者です。ある日、がん患者の支援団体の集まりでオーガスタス(アンセル・エルゴート)という少年と出会います。彼は骨肉腫で片足を失っています。彼は持ち前のユーモアで周囲を明るくすることが出来る存在です。「自分が死んで、皆に忘れられることが一番怖い」と話すオーガスタスに対してヘイゼルは、「特別な人物を除けば、大抵の人たちは忘れ去られていくもの」と意見します。



白ける周りの反応とは対照的にオーガスタスはヘイゼルに特別なものを感じたようで、自分の家に招待し、そこから行動を共にするようになります。ある時ヘイゼルは彼に一冊の本を紹介します。それは、ガン患者の本当の姿を描いているものとして彼女にとってとても大事な本でした。しかしその本は結末が曖昧で、本当の結末が知りたいの、とヘイゼルは語ります。



その本を読んで気に入ったオーガスタスはヘイゼルに、作者のもとを訪ねて本当の結末を聞こう、と提案します。直前にヘイゼルが体調を崩してあやうく行けなくなりそうになりますが、周りの協力もあり、ついに作者が住むアムステルダムへと出発します。しかしどうやら作者のピーター・ヴァン・ホーテン(ウィレム・デフォー)は彼らを歓迎していないようで・・・。


感想
 
先日シンガポールに旅行で行ったときにこの映画のブルーレイが売っていたのですけど、パッケージの裏を見たら日本語も入っていて。前から観たかった映画なので衝動買いしてしまいました。

日本に帰ってきてから家で一人で観ていたんですけど、ちょっと泣きそうになりました。笑

正直難病モノって苦手というか、病気とか障害を題材に感動作!とか打ち出している作品とか見るとうーん、、と思ってしまうこともあるのですが、この映画は逆にそういう人にも観てもらいたいです。

何がいいって、まず死を美化していないところ。その上で、主人公達、そして周りの人達がどう死を受け入れるかにスポットを当てている。

主人公のキャラクターも普通の難病モノとはちょっと違います。等身大に生きているのが清清しい。がん患者の集会でオーガスタスに向けて話す意見からして好印象。
オーガスタスはどんな時もユーモアを忘れない。流石に完璧過ぎないか??と途中まで思っていたけれど、終盤初めてヘイゼルに弱みを見せて心中を語るシーンでなるほどなあ、と。このシーンはグッと来ました。

オーガスタス中心にユーモア交じりの会話で進んでいくのも良かったですね。その中で時々ハッとさせられるセリフも合ったりして。例えばあらすじのところでも書いた、ヘイゼルが「特別な人物を除けば、大抵の人たちは忘れ去られていくもの」と言う序盤のシーン。ここのシーンは後半の展開で効いてきます。いつか必ず訪れる死を恐れるよりも「今」を生きることの素晴らしさを感じました。

あとは音楽。基本ティーンに人気のアーティストを集めてますが、そのチョイスが良いです。ジェイク・バグにグループ・ラブにリッケ・リーにチャーリーXCX!

しかしこの映画日本で全くヒットしていないみたいなんですよね。。世界中でヒットしてるのにちょっと寂しいです。(「アバウト・タイム」や「あと1センチの恋」などのヒットを見るに)小規模公開ならヒットしたかもしれないけれど本国で大ヒットしてる分難しいだろうしなあ。宣伝とか結構頑張っていたとは思うんですけど、そもそも公開遅過ぎないか?と。ムーブメントになっていたのは半年以上前なのに。

まあ原作の小説が売れてない時点で、っていうのはあると思いますけど。「トワイライト」にしろ「ハンガー・ゲーム」にしろ「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」にしろ日本ではヒットしていないですが、まず原作をもっと売り出すべきだと思います。
YA小説コーナーみたいなのをつくってもっと売り出していけばいいのに。「フィフティ~」に関しては最近書店で押し出されていますけど、遅過ぎる。一年前くらいから売り出さないと広がらないのでは。
今後もクロエ・モレッツ主演の『The 5th Wave』とかYAモノの大作映画は出てくるわけで、早めに邦訳を出して欲しいです。

 







追記:『きっと、星のせいじゃない。』という邦題はよくわからない。原題の『The Fault in Our Stars』はシェイクスピアの戯曲ジュリアス・シーザーの「The fault, dear Brutus, is not in our stars,
But in ourselves, that we are underlings.」というセリフの引用で、あえて逆の意味のタイトルを付けています(アンチテーゼ)。つまり、「このガン(=fault)は運命(=our stars)のせい(・・・でも生きていくしかないでしょ!)」という意味が込められていると思うのですけど、邦題だとちょっと何が言いたいのか分かりづらくなっているような。『こんなサイアクな、運命なんて。』とかどうですかね?ダメかな。